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デンタルフロスを毎日使い続けて得た変化
私がデンタルフロスを本格的に使い始めたのは、三十代を目前にした頃、歯科検診で歯科衛生士さんから「歯ブラシだけでは限界がありますよ」と、半ば呆れ顔で指導されたのがきっかけでした。それまでの私は、歯磨きには自信がありました。毎食後、五分以上はかけて丁寧に磨いているつもりでした。しかし、自分では気づかないうちに、口の中にいくつかの問題を抱えていたのです。朝起きた時の口の中のネバつきや、なんとなく気になる口臭。そして、時々歯茎が腫れぼったく感じることがありました。フロスを勧められた私は、半信半疑ながらも、その日からホルダータイプのフロスを毎晩の歯磨きの後に取り入れることにしました。最初の数日は、衝撃の連続でした。丁寧に歯磨きをした後のはずなのに、フロスを通すと、歯と歯の間から食べかすや、白くて臭い塊、つまり歯垢がごっそりと取れてきたのです。「こんなものがずっと挟まっていたのか」と愕然としました。そして、案の定、いくつかの箇所から血が出ました。痛いというよりは、自分の歯茎の不健康さを突きつけられたようで、少しショックでした。それでも、「血が出なくなるまで続けるのが正解」という衛生士さんの言葉を信じ、毎晩続けました。一週間が過ぎた頃、最初の変化に気づきました。フロスをしても、血が出ることがほとんどなくなったのです。そして、あれほど取れていた食べかすの量も、明らかに減っていました。二週間目には、朝起きた時の口の中の不快なネバつきが、すっきりと爽やかな感覚に変わっていることに気づきました。口臭も気にならなくなり、人と近距離で話すことへの不安が消えていきました。一ヶ月も経つ頃には、鏡で見ると、以前は赤く腫れぼったかった歯茎が、キュッと引き締まった健康的なピンク色になっているのが分かりました。フロスを使うことが、もはや義務ではなく、一日の汚れをリセットする心地よい習慣になっていました。そして半年後の歯科検診。衛生士さんから「素晴らしいです!歯茎の状態が劇的に改善していますね。この調子で続けてください」と、初めて褒められたのです。この時の喜びは、今でも忘れられません。デンタルフロスは、私の口腔環境だけでなく、自信までをも取り戻してくれた、人生を変えるほどの素晴らしい習慣だったのです。