鏡を見て愕然とする、クレーターのようにえぐれた巨大な口内炎。あまりの痛みに、すぐにでも何とかしたいと薬局に駆け込む人は多いでしょう。しかし、棚に並んだ多種多様な市販薬は、この手ごわい敵に対して、果たしてどこまで有効なのでしょうか。その効果と限界を正しく理解しておくことが、賢明な対処につながります。まず、市販薬には大きく分けて「塗り薬(軟膏)」「貼り薬(パッチ)」「内服薬」の三種類があります。塗り薬は、抗炎症成分であるステロイドを含むものが多く、炎症を直接抑える効果が期待できます。しかし、でかい口内炎の場合、患部が広範囲で深いため、薬が唾液で流れやすく、十分な効果を発揮しにくいという側面があります。塗る瞬間の痛みも相当なものです。貼り薬、いわゆるパッチタイプは、患部を物理的に保護してくれるという最大のメリットがあります。食事や会話の際の刺激から守ってくれるため、日中の痛みを和らげる効果は高いでしょう。しかし、これもまた、口内炎が巨大すぎると問題が生じます。パッチのサイズが患部を完全に覆いきれなかったり、深いクレーターの凹凸にうまくフィットせず、すぐに剥がれてしまったりすることが少なくありません。保護はできても、積極的な治療効果という点では限界があるかもしれません。そして、体の内側から効く内服薬です。これらは主に、粘膜の修復を助けるビタミンB群などが主成分となっています。口内炎ができやすい体質を改善したり、治癒をサポートしたりする効果は期待できますが、今まさに目の前で猛威を振るっている巨大な口内炎の激痛を、すぐに和らげてくれるような即効性はありません。あくまで補助的な役割と考えるべきです。結論として、市販薬は、でかい口内炎に対して「痛みを一時的に和らげる」「悪化を防ぐ」という点では一定の効果を発揮しますが、「積極的に治す」力には限界があると言わざるを得ません。市販薬を二、三日試しても改善の兆しが見られない、あるいは痛みがますます強くなるような場合は、セルフケアの限界と判断すべきです。でかい口内炎は、もはや家庭で対処できるレベルを超えている可能性が高いのです。躊躇せず、専門家である歯科や口腔外科を受診するという決断こそが、最も確実で早い回復への道筋となります。
でかい口内炎に市販薬はどこまで通用するのか