「せっかく高いお金を払ったのに、なんだか色が不自然」「形が気に入らない」「すぐに取れてしまった」。残念ながら、セラミック治療において、こうした失敗談を耳にすることがあります。患者さんと歯科医師、双方にとって不幸な結果を避けるために、治療を考え始めた最初の段階で、患者さん自身ができること、そして知っておくべきことがあります。その第一歩は、治療に対する「明確なゴール」を自分の中で設定することです。あなたはなぜセラミック治療を受けたいのでしょうか。単に銀歯を白くしたいだけなのか、歯の形や隙間も治したいのか、それとも全体の歯並びを含めて理想の笑顔を手に入れたいのか。目的によって、最適な治療法や費用、期間は大きく変わってきます。自分の希望を具体的にしておけば、歯科医師とのカウンセリングの際にも、的確に要望を伝えることができます。次に重要なのが、歯科医師とのコミュニケーションの質です。セラミック治療の成否は、医師の技術力はもちろんですが、それと同じくらい、患者さんの理想をどれだけ正確に汲み取り、形にできるかというコミュニケーション能力にかかっています。カウンセリングの際に、あなたの話を親身に聞いてくれるか、専門用語ばかりでなく分かりやすい言葉で説明してくれるか、メリットだけでなくリスクもきちんと話してくれるかを見極めましょう。この段階で少しでも不安や不信感を覚えるようであれば、他の医院の意見も聞いてみるべきです。治療に入る前の「シミュレーション」も、失敗を避けるために非常に有効なステップです。多くの歯科医院では、患者さんの歯の模型上で最終的な仕上がりをワックスで再現する「ワックスアップ」や、その模型をもとに実際に口の中で仮の歯を試着できる「モックアップ」といった方法を取り入れています。これらを行うことで、治療後の歯の色や形、大きさ、笑った時の見え方などを事前に確認することができます。「思っていたイメージと違う」という最大の失敗を防ぐため、こうしたシミュレーションが可能かどうかを事前に確認しましょう。そして、決して焦って決めないことです。セラミック治療は高額であり、やり直しも簡単ではありません。複数の歯科医院でカウンセリングを受け、それぞれの治療方針や費用を比較検討する時間的な余裕を持ちましょう。
セラミック治療で失敗しないための最初のステップ