2025年11月
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舌が黒くなる病気、黒毛舌とは
舌にできた黒い点やシミが、まるで黒い毛が生えているように見える場合、それは「黒毛舌(こくもうぜつ)」という状態かもしれません。この名前は少し驚くかもしれませんが、実際に毛が生えているわけではありません。黒毛舌は、舌の表面にある糸状乳頭という小さな突起が、正常なサイクルで剥がれ落ちずに異常に伸びて長くなり、その伸びた乳頭が角化して硬くなることで起こります。そして、その角化した乳頭の間に、食べ物のカスや細菌、あるいは色素などが付着し、それらが化学変化を起こすことで黒や褐色、黄色といった色に見えるのです。これが、まるで黒い毛がフサフサと生えているように見えるため、黒毛舌と呼ばれています。黒毛舌が起こる明確な原因は完全には解明されていませんが、いくつかの誘因が指摘されています。体の抵抗力が落ちている時、例えば、抗生物質やステロイド剤を長期間服用している場合や、風邪などで体調を崩している時に発症しやすいと言われています。これらの薬は、口の中の正常な細菌バランスを崩し、特定の菌(色素産生菌)が異常に増殖するきっかけを作ることがあります。また、口腔内の清掃不良や、喫煙、刺激の強い洗口液の長期使用なども、黒毛舌の発生に関与していると考えられています。黒毛舌は、見た目のインパクトが強い割には、痛みやかゆみといった自覚症状はほとんどないことが多く、口の中の違和感や口臭、味覚の変化などを訴える程度です。多くの場合、原因と考えられる薬の服用を中止したり、口腔内を清潔に保つように心がけたりすることで、数週間から数ヶ月で自然に改善していきます。舌ブラシなどで優しく清掃することも有効ですが、症状が長引く場合や気になる場合は、歯科や耳鼻咽喉科で相談することをお勧めします。