舌にできる黒い点のほとんどは、血豆や色素沈着といった心配のないものですが、中には注意が必要なケースも存在します。特に、いくつかの特徴を持つ黒い点については、悪性の病気の可能性も視野に入れ、早期に専門医の診察を受けることが重要です。まず、注意すべきサインは「形状の変化」です。単なる血豆やシミであれば、時間の経過とともに小さくなったり薄くなったりするのが普通ですが、逆に徐々に大きくなる、色が濃くなる、あるいは形がいびつになっていくといった変化が見られる場合は、細胞の異常な増殖が起きている可能性があります。次に、「硬さとしこり」の有無です。指で触れてみた時に、周囲の組織とは明らかに異なる硬いしこりとして感じられる場合や、表面がただれて潰瘍のようになっている場合は注意が必要です。良性のシミは、通常、周囲の粘膜と同じように柔らかく、平坦です。また、「痛みや出血」を伴う場合も危険信号です。血豆であれば初期に軽い痛みがあるかもしれませんが、長期間痛みが続いたり、何もしていないのに簡単に出血したりする黒いシミは、正常な状態ではありません。さらに、「場所」も一つの判断材料になります。舌の側面や裏側、付け根といった、普段あまり刺激を受けない場所にできた黒いしこりは、単純な血豆や色素沈着とは考えにくい場合があります。これらの症状は、悪性黒色腫(メラノーマ)や舌癌といった、稀ではありますが非常に深刻な病気の初期症状である可能性を完全に否定することはできません。これらの病気は、早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。もし、ご自身の舌の黒い点がこれらの特徴のいずれかに当てはまる、あるいは数週間経っても全く消える気配がない、原因に全く心当たりがないといった場合には、自己判断で様子を見続けず、迷わず口腔外科や耳鼻咽喉科、皮膚科などの専門医を受診してください。